ベナンあれこれ

2017-09-06

KTLの母子保健

今日はいつになく内容が真面目よ!


先日あった保健局の報告会でレポートされたものの一つを読み込みました。
簡単に言うと母子保健改善週間(5日間)の取り組みと成果について書かれています。
この取り組みは毎年行われるんだとか。


<この取り組みが行われた背景>

クルエカメ地域保健局が管轄する3つの地域であるKTLKlouékanmè,Toviklin, Lalo
モノ・クッフォにおける4つの保健ゾーンの中でも最も貧しい地域である。
そしてこの地域は母子保健に関する8つの指標が全国平均を下回っている。




具体的には、2013年のデータより

・妊産婦死7件、50件近くの死産
・出生前診断・相談 半数以下
・病院でなく、自宅での出産
・家族計画に関する啓発不足
・予防接種率の低迷
・安全でない水の利用・劣悪な衛生状態
・クルエカメのLentaにおけるコレラの流行

これらの状態を改善するため、以下のことを目標に5日間の取り組みが行われました。

・子供と母親の健康改善
・予防接種率の向上
・出産前相談の向上
・病院での出産率向上
・避妊法の啓発
・栄養失調児の発見と治療
・HIV患者のARV治療促進

5日間の集中した取り組みと保健センター間の競合によって成果は大きかったようですが、その報告の中でエイズ対策として派遣されている身として気になった点が二つ。

気になった点その①:主な避妊方法
567人の女性に対して行われた避妊方法に関する調査の結果です。

<長期的方法:52%>
・Jadelle 
…埋め込み式カプセル。左上腕にカプセルを埋め込む。5年間有効。
・DIU
…子宮内装着避妊具。10年間有効。1回500Fcfa(約100円)

<短期的方法:48%>
dépôt
 …注射。3か月有効。1回1000Fcfa(約200円)
pilule
 …ピルの内服

長期的・短期的避妊法のいずれにしても、それらによってすでに避妊をしている場合、さらにコンドームを使用しての避妊は行わないことがほとんどです。ということで、以前から保健局や病院の人にも聞いていた通り、コンドームの使用が一般的でない様。性感染症の側面から見ると予防が十分に行えてないのではないかな、とこの結果から思いました。


でも、村の人からすれば、いちいちお店で買わなければならないコンドームを使用して避妊するよりも、一回100円や200円で中・長期間有効な避妊方法の方が現実的ですよね…。
しかも村の小さな雑貨屋さんに必ずしも売ってるとは限らない。それに、売っていたとしてもそんな村密着型の顔なじみのお店で買う気にはなれないとも思います。
まだ聞けていないけど、宗教の影響もあるのかな。
前活動していたケニアでは、カトリック教会が教義上コンドームの使用を禁止していたということもあり、コミュニティにその影響が出ている地域もありました。


気になった点その②:妊産婦ケアの人材不足
報告の中に、「妊産婦ケアの訓練を受けた人材がいないために家族計画の啓発や出産前相談が十分に行えない」とありました。
特に規模の小さい、中心地から離れた場所にある保健センターでは人材不足が深刻で、これらのサービスが十分に行えなかったとの報告でした。

<家族計画>
この地域に限ったことではないと思いますが、一人の女性が産む子供の数が多く、妊娠・出産後も、またすぐに妊娠する女性が非常に多いとのこと。
そのような状況で、適切な避妊方法や、連続して妊娠することの体へのリスク等を女性に説明することはとても重要です。

<出生前相談・検査>
⇒ベナンでは、妊婦へのワクチン接種や蚊帳の配布、HIVの簡易検査などのサービスが行われています。これらのサービスはお母さんのためにも、生まれてくる赤ちゃんのためにもとっても大切。
因みに、HIV検査を受けて陽性と分かった場合、適切な処置を行えば母子感染を防ぐことができます。


これらのサービスが保健センターの人材不足のために十分に行えてない、というのはなかなか深刻な問題。
特に問題とされた中心地から遠くの保健センターでそれらが行われていない場合、わざわざそのサービスを受けるために中心地の保健センターにやってくる村の女性はどれほどいるんだろう。



保健局・病院内で聞いたことや、いくつかの報告書やデータを見たりして、いろんな問題が見えつつある。でも、それらのどこに自分が貢献できるか、どんな問題に取り組めそうか、誰と協働すれば良いかを判断するのに、もう少し時間がかかりそう。



私が協力隊に参加していることを知っている日本の友達からは、
「具体的に何してるの?どんな活動してるの?」とよく聞かれる。
聞かれるたびになんて答えていいか分からないし、思い出したようにもどかしさがまた襲ってくる。


活動に移せるのはまだ先。
今は現状把握で精一杯。
フランス語理解するので精一杯。
思うように聞きたい事聞けない。
思うように行動に移せない。
不安なことだらけ。



「最初は何かしなきゃと焦るもの。でも最初から活動できる人なんていない。」
「協力隊は皆、自分の活動を開始できるのは早くて半年後、大体一年経ってから。帰国間近になる人もいる」
先輩方に言われた言葉も気休めに思い出してはみるけどやっぱりもどかしい。

今日一日これでよかったの?
この一週間で何ができたの?

これが今の正直な気持ち。


これから協力隊として活動する人も見ていると思うので嘘は書きません。
正直に書きます。かっこ悪いけどね。恥ずかしいけどね。
自分にとっても、こうやって書き続けて後から見たときに、自分の気持ちの変化とか、悩んだ記録とかが残っているのもまた財産だと思います。



おっと~ちょっとしんみりしちゃった??
明日は気分転換に活動とは関係ないこと書こうかな。


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じゃあおやすみ!Bonne nuit!

2 件のコメント:

  1. 今日一日これでよかったの?この一週間で何ができたの?わかるよー、同じ同じ!目の前で亡くなっていく命に無力感感じざるを得ないし、日本なら救えるのにな、わたし何しに来たんだろうって、そんなことばかり思ってるよ。でもわたしにもできることあると思って、無駄かもしれないけど、授乳支援とか新生児ケアとか始めたよ。petit a petitよ。焦らずいきましょ。
    そして性感染症対策のこと、わたしも地域に出るようになったら、そういう内容もやるかもだから、またぜひ情報共有させて。センシティブな内容だからね、もっと仲良くなったらベナン人に聞いてみようと思ってるよ。

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  2. 姉さん~!ありがとう~!!
    姉さんも同じこと感じてるんだって知って気持ちが楽になったよ。
    私も母子保健の活動も視野に入れてやっていったほうが良いなと思っているので今度ぜひぜひ相談させてください。
    そういう情報も本当に助かります…!病院で聞く話と地域で聞く話ってやっぱり違うもんね。ぜひぜひお願いします。私も少しずつ周りから聞いてみてるけどやっぱり難しい…
    petit a petit で頑張るよ!!
    今日はプリン作ったよ。姉さんとまた料理したいな。

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