村での活動へは一緒に活動してくれているNGOと行っています。
中心地から大分離れたところに、保健センターもなく学校もなく、水道も電気ももちろん通っていない上に井戸もない、という村があります。私たちが向かうにも、ボッコボッコの道をひたすら何十分もかけて移動しなければならない。
ベナンでは来客があった際に歓迎のしるしとして水をお客さんに出して飲んでもらうのですが、その出された水が濁っている。でも水道も井戸もないこの村ではこれがお客さんに出せるきれいな水なんだろうなぁ。NGOのベナン人も「これは飲めん」とパス。
マラリア予防の話で、夜は蚊帳をして寝てくださいという話をしますが、「皆さん蚊帳は家にありますか?」と聞くと、なんと誰も手を上げない。
いつもやっている保健センターでの啓発では、いつも来ている全員が手を上げるのに。
去年の蚊帳配布キャンペーン |
去年国のプロジェクトで蚊帳の一斉配布してたやん!!と思って聞いてみると、蚊帳を配る仕事をする保健ボランティアがそもそも来ない、というより存在してるかわからない、保健機関に自分たちが認知されているか分からない。とのこと。確かにこんな辺境の地、こっちからも保健センターに行けないのに保健センターの人もそうそう来れたもんじゃない。
私たちは見捨てられている、と村人も言っていました。一緒に行ったNGOも前々から行政機関や保健センターに働きかけてはいるけれどなかなか取り合ってくれないとか。自分も配属先に相談したけどうやむやにされる。
マラリアの話の中で、「マラリアになったらどうするの?」と質問されて、いつもなら「すぐ保健センターに行ってください」と返すけど、ここの村の人は遠く離れた保健センターに行く術もなく、なんて返したらいいか分からない。
「蚊帳がないんだけどどうしたらいいの?」と聞かれて「夕方からは外に出歩かないで長袖長ズボンを履いて下さい」としか言えない。よく言うけどこれも非現実的。自分だって日ごろ長袖長ズボン履いてるわけじゃないし…。暑い時期にそんなかっこしてられないし…
水と衛生の話で手洗いをやってもらったときは、その手洗いに使う水が相変わらず濁っている。石鹸でどんなにきれいに手を洗ったって洗い流す水がきれいじゃなかったら意味ない。
同期のりかも小学校を回って衛生の話をしているのですが、りかと電話した時、「衛生やハエの働きの話はするけど、授業の中で手洗いの実践はしない。」といっていました。「きれいな水が用意できないときはどうするの?って子供に質問されたときに答えられない。」
マラリア予防のために長袖長ズボンで寝てください、という話もそうだけど、手は毎回石鹸使って洗って清潔な水で流して!水は煮沸して冷まして飲んで!濾過して飲んで!なんて、手間や習慣化することを考えても非現実的だし、自分も彼らと同じ環境で同じことをやれっていわれても面倒くさくて多分やらない。自分たちは今までのやり方でどうにかなってきたんだからいっか、って思う。そもそも石鹸も清潔な水も手に入らないし。
理想と現実は違う。啓発する以前の問題として、自分じゃどうにもできない事に直面することが多いです。どんなに啓発頑張っても実践できないんだから意味ない。自分がこの村でやるべき活動ってこれであってるの?今やってることって意味あるの?これで彼らの環境を変えられるの?とモヤモヤ考え込んで、落ち込んだり。
でも考えてもしょうがないので、事前にNGOこの日やろうと決めていたことはモヤモヤしながらやる。
ティッピータップ(手洗い器)の作り方をデモンストレーション。途中で雨が降ってきたので家畜小屋の中で説明を続ける。暗いしぎゅうぎゅうだし何がなんだか!
村人は自分の家でティッピータップを作り、完成したら村の代表が確認に行き、その家庭に石鹸を一つ渡す、ということにして、最後に村の代表に石鹸をひと箱渡しました。
帰り際、村の人々が水を汲んできている場所を見せてもらうことに。
この日は雨が降ったせいで、元からボコボコの道が余計にぐちゃぐちゃで、ビーサンで歩けたもんじゃない。途中からあきらめて裸足に。
到着。
連れて行ってもらった水源は池というか水たまり。一応小川の様にどこからか水が流れてきています。
雨上がりということもあり、より濁っている。ここから近い村人は皆、ここの水を使っているよ、水道も井戸もないからしょうがない、と言っていました。家畜も飲みに来るだろうし、いつ誰がお腹壊してもおかしくない。お腹に虫がいてもおかしくない。
二週間後にこの村を訪れたとき、20家庭中16家庭がティッピータップを作ってくれていて、子供達も私が前回話した通りに手を洗って見せてくれてましたが、どの家庭も容器の中に入っていたのは濁った水。煮沸した水を冷まして入れてほしい、とは伝えていたし、実際聞いても濁っているけど煮沸した水を入れていると言ってくれるけど、どうしても本当に…?と思ってしまう。
NGOの人は、日本の無償資金援助のプログラムを申請してここに給水塔を建てようと計画中です。
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ワールドカップ2018
6月といえばワールドカップがありましたね。ベナンでも日本人は大盛り上がりでした。
ちょうど先輩の送別会と日程が重なったので、コトヌーで皆で応援。
普段全くスポーツ観戦に興味のない私も、皆と一喜一憂、騒ぎました。周りのベナン人ドン引き。でもいいんです、たまには騒いで息抜きしなきゃ!!
サービスショット。ワールドカップケーキと緑。
次回予告!!