世界エイズデー(World AIDS Day:12月1日)は、世界レベルでのエイズのまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、WHO(世界保健機関)が1988年に制定したもので、毎年12月1日を中心に、世界各国でエイズに関する啓発活動が行われています。(厚生労働省HPより)
この日にちなんで任地で啓発活動の活動を計画していたのですが、やはりうまく事が進まず…。でも準備した内容はいずれ活かせると思うので次の機会に活用します。
今回は、エイズについてのお話し。
ベナンに来る前、友達に「ベナンでお土産買ってくるね!」という話をしたら
「え~、でもそれ食べたり触ったりしたらエイズになりそう。」
と言われたことがありました。
この言葉を聞いたとき、正直「はぁ?なんてこと言うんだこいつ…」と思いましたが、何よりも
「日本ではこの人の様にエイズについてちゃんと知らない人が多いんだろうな」
と、ショックを受けました。
確かに、日本ではエイズがあまり身近でない病気だという感覚を持っている人や、エイズについてよく知らない、という人も多いと思います。
私も実際学校の保健の授業で習ったときは、教科書のそのページを見るのもなんだか落ち着かないし、「自分には関係ない話。早く終わらないかなぁ…。」と思っていました。
でも実際、他人事じゃないんです。
「カレシの元カノの元カレを、知っていますか?」
これは、私がエイズ検査を受けに行ったとき、検査所の待合室に貼ってあったポスターの言葉。
この言葉、どんな意味があると思いますか?
自分が今付き合っている人や今まで付き合ってきた人が、過去にどんな人達と関係を持っていたか、そしてその人達がまたその前に、どんな人達と関係を持っていたか…遡れば果てしないですよね。
その全ての関わりの中に、HIV感染の可能性がないと言いきれますか?
という問いかけだと私は思います。
誰にでも感染する可能性はある。
でも正しい知識と予防法で感染は防げます。
今あなたがこの記事を読んでくれたことをきっかけに、少しでもエイズのことを知って、考えたり、相手や自分のために行動したりするきっかけになればと思います。
どういう病気?エイズとHIVの違い
「HIV/AIDS」と、よくセットで耳にすることが多いと思いますが、この二つの違いを簡単に説明します。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)はウイルスの名前です。
このウイルスは感染者の血液や体液の中にいて、感染した人の免疫細胞を壊してしまいます。つまりこのウイルスに感染すると、免疫力が落ちて、体が病原菌と闘えなくなってしまいます。
AIDS(後天性免疫不全症候群)は病名です。
前述したHIVウイルスに感染することによって免疫が下がり、「健康ならかからない病気(日和見感染症)」にかかってしまうことをAIDSと言います。
「日和見感染症」は代表的な病気が23個決められていて、それらの1個以上を発症した状態がAIDSです。
HIVに感染したからと言ってすぐエイズを発症するわけではなく、人によりますが数年~10年程度の「無症候期」があります。
この無症候期は、HIVに由来する症状は出ませんが、ウイルスは体内で増え続けているため、この期間も相手にウイルスを感染させてしまう可能性があります。
3つの感染経路
HIV感染の可能性がある経路は3つに限られています。逆に、この他の経路で感染することはありません。
1、性行為による感染
日本で最も多い感染経路です。
感染力のある体液(血液・精液・膣分泌液)が粘膜(性器・肛門・口)や傷口に触れることで感染します。
コンドームの使用により感染を防ぐことはできますが、口を使ってのオーラルセックスでも感染のリスクがあります。
2、血液を介しての感染
3、母子感染
お母さんがHIVに感染している場合、妊娠中・出産時・授乳時に赤ちゃんへの感染リスクがあります。
お母さんが治療薬を服用すること、帝王切開での分娩、母乳を与えない、等で赤ちゃんへの感染は1%以下に抑えることができます。
感染しない行為
HIVは感染力がとても弱いウイルスで空気や水に触れれば、感染力を失います。また、「だ液」「涙」「鼻水」「汗」「尿」といった体液はHIVの感染力がないため、次のような日常生活ではHIVに感染することはありません。
同じお風呂やプールに入る
同じ便座に座る
同じ蚊に刺される
飲み物の回し飲み
同じ皿の食べ物を食べる
キス
握手
治療法は?
現在では医療の進歩により、エイズ発症前にHIV感染を知ってちゃんと治療を継続することで、感染前と変わらず生活できるようになりました。治療には、抗HIV薬を服薬する、という方法がとられています。
また、薬を飲んだり飲まなかったりしてしまうと薬に耐性のできたウイルスが出来てしまうため、治療はちゃんと続けることが必要です。
検査を受けよう
HIVに感染してもエイズを発症するまでは症状が出ないので、自分はもちろん、相手が感染しているかどうかもわかりません。自分や相手のためにも、検査を受けることが大切です。検査で陰性(感染していないこと)が分かれば不安の解消にもなりますし、
感染が分かった場合も早期に治療を開始することで以前と変わらない生活ができます。
日本では保健所などで検査を行っています。
私も検査を受けてきました。⇒私がHIV検査を受けた話
匿名や無料で受けられるところが多く、細かなところまでプライバシーに配慮した対応をされています。
以下のサイトで検査を受けられる機関を検索できます。
HIV検査・相談マップ
無料、匿名、予約不要、即日検査の実施など、条件を指定して検索できるので、自分の行きやすい検査機関を探してみてください。
ここまで読んでくれてありがとう!
長々と書きましたが、私が主に伝えたかったのは以下の3つです。他人事と思いがちだけど、他人事じゃない。
予防をすること、検査を受けることが大切。
陽性者も正しい治療により他の人と同じように生活できる。
この記事を読んで、誰かとエイズについて話す機会を持ってとか、Facebookでシェアしてとか、そういうことをお願いしたいわけではありません。
自分自身や大切な人のために、正しい知識を知って予防してほしい
自分や大切な人を守るために、できるだけ多くの人に検査を受けてほしい
という思いで書きました。
ここまで読んでくれて、ありがとうございました。
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使用した画像はこちらからお借りしました。
エイズ予防財団
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